60坪の外壁塗装の相場はいくら?費用の内訳と安くするポイントを解説

外壁塗装は家を長持ちさせ、美観を保つために欠かせないメンテナンスですが、まとまった費用がかかるため事前に相場を把握しておくことが重要です。
特に60坪(約200㎡)の建物となると、外壁塗装にはそれなりの金額が必要になります。
そこで本記事では、60坪の外壁塗装の相場や、安く工事を済ませるためのポイントを初心者にもわかりやすく解説します。
適正価格を知らないまま業者に依頼すると、必要以上に高額な見積もりを提示されることもあるため、騙されないように予備知識を持っておきましょう。
目次
60坪の外壁塗装の相場とは?

60坪(約200㎡)の住宅の外壁塗装にかかる費用は、使用する塗料や施工内容によって大きく変わりますが、一般的な相場は80万円~150万円程度です。
まず、塗料には耐久性や機能の違いがあり、安価なものから高額なものまで幅広く選択肢があります。
また、塗装工事には足場の設置や下地処理といった追加の付帯工事も発生するため、単純に「塗料代」だけを見て判断しないことが重要です。
塗料の種類ごとの費用相場
外壁塗装に使用される塗料にはさまざまな種類があり、それぞれ耐久性や価格が異なります。ここでは代表的な塗料の特徴と費用相場をみていきましょう。
塗料の種類 | 耐用年数 | 費用相場(60坪) | 特徴 |
アクリル塗料 | 5~7年 | 60万~80万円 | 価格は安いが耐久性が低く、頻繁な塗り替えが必要 |
ウレタン塗料 | 8~10年 | 70万~100万円 | 適度な耐久性と柔軟性があり、コストパフォーマンスが良い |
シリコン塗料 | 10~15年 | 90万~130万円 | 耐久性が高く、コスパの良い人気の塗料 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 120万~180万円 | 高耐久で長持ちするが、価格が高め |
無機塗料 | 20年以上 | 140万~200万円 | 耐久性が最も高く、メンテナンスコストを抑えられる |
アクリル塗料
アクリル塗料は最も安価で、施工費用を抑えられる点がメリットです。
しかし耐久性が低く、5~7年ごとに再塗装が必要になるため、長期的に見るとコストがかさむ可能性があります。
予算が厳しい場合や、短期間での建て替えを予定している場合に適しています。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は適度な耐久性と柔軟性を持ち、細かい部分にも施工しやすいのが特徴の塗料です。
シリコン塗料が主流になる前は広く使われていましたが、現在ではやや使用頻度が減少しています。
コストパフォーマンスを重視する場合におすすめです。
シリコン塗料
シリコン塗料は耐久性と価格のバランスが良く、現在最も一般的に使われている塗料です。
汚れが付きにくく、メンテナンスの手間を減らせるため、多くの住宅で採用されています。
フッ素塗料
フッ素塗料は耐久性が高く、長期間のメンテナンスが不要になります。
特に雨風や紫外線の影響を受けやすい立地に適していますが、初期費用が高くなるため、予算とのバランスを考えることが大切です。
無機塗料
無機塗料は最も耐久性が高く、長期間にわたって外壁を保護できるため、トータルのメンテナンスコストを抑えたい場合に最適です。
ただし、価格が高いため、初期費用を抑えたい場合には向いていません。
付帯工事の費用も忘れずに
外壁塗装の費用は、塗料代だけで決まるわけではありません。施工にはさまざまな付帯工事が必要になり、それぞれに追加費用が発生します。
業者によっては最初の見積もりに含まれておらず、後から追加料金を請求されるケースもあります。事前にしっかり確認し、総額で比較することが大切です。
付帯工事の種類 | 費用相場(60坪) | 役割 |
足場設置費用 | 15万~25万円 | 高所作業を安全に行うために必須 |
養生費用 | 5万~10万円 | 窓やドアなどの塗装しない部分を保護 |
高圧洗浄 | 3万~8万円 | 汚れやコケを除去し、塗料の密着度を向上 |
下地処理 | 5万~15万円 | ひび割れや劣化部分の補修 |
シーリング補修 | 5万~20万円 | 外壁の隙間を埋めて防水性を向上 |
雨樋・軒天・破風の塗装 | 10万~30万円 | 付帯部の塗装で建物全体の美観を整える |
足場設置費用
外壁塗装の際、高所作業を安全に行うために足場の設置が必要になります。
費用の目安は15万~25万円程度で、これは塗装工事の中でも大きな割合を占める部分です。
仮に同じ塗装業者で屋根塗装も同時に行う場合は、足場の費用を分割できるため、コスト削減につながるケースもあります。
養生費用
塗装作業では、窓や玄関ドア、エアコンの室外機など、塗装しない部分を保護する養生作業が必要で、通常5万~10万円程度の費用がかかります。
しかし養生をしっかり行わないと、塗料の飛び散りによるトラブルが発生する可能性があるため、外せない費用です。
高圧洗浄
外壁の汚れやコケ、カビを落とし、塗料がしっかり密着するようにするために、高圧洗浄を行います。
費用の目安は3万~8万円です。
外壁の汚れがひどい場合、通常の高圧洗浄だけでは不十分なこともあり、バイオ洗浄(専用の洗剤を使用)をオプションで追加する場合もあります。
下地処理
「下地処理」では、外壁のひび割れや劣化部分を補修します。
費用の目安は5万~15万円と高額に見えますが、下地処理を怠ると、塗料が十分に密着せず、数年で剥がれてしまうリスクが高いため、必要なコストです。
シーリング補修
サイディング外壁の場合、目地部分のシーリング(コーキング)の打ち替えが必要になることが多いです。
5万~20万円程度の費用がかかりますが、シーリングの劣化を放置すると雨漏りの原因になるため、塗装と合わせてメンテナンスするのが望ましいでしょう。
雨樋・軒天・破風の塗装
外壁塗装の際、雨樋・軒天(屋根の裏側)・破風(屋根の側面部分)なども一緒に塗装します。
これには10万~30万円程度の追加費用がかかりますが、外観を美しく保つために重要な工事です。
60坪の外壁塗装の費用が変わる要因
外壁塗装の費用は、家の広さだけでなくさまざまな要因によって変動します。
60坪の住宅の場合でも、選ぶ塗料や外壁の状態、業者の違いなどで数十万円の差が出ることも珍しくありません。
建物の形状や外壁の状態
同じ60坪の家でも、形状や外壁の劣化具合によって塗装費用が変わります。
要因 | 費用への影響 |
凹凸の多い外壁 | 手間がかかるため費用が高くなる |
劣化が激しい外壁 | 下地処理のコストが増加 |
3階建て以上 | 足場の設置費用が増える |
サイディング外壁 | シーリング補修が必要で追加費用が発生 |
モルタル外壁 | クラック(ひび割れ)補修が必要になることが多い |
凹凸の多い外壁(タイル調・デザイン性の高いサイディングなど)は、平坦な外壁に比べて塗料を多く使用するため、費用が高くなります。
また、外壁の劣化が激しい場合は、下地処理費用が増加します。特に、ひび割れが多いモルタル外壁や、シーリング補修が必要なサイディング外壁は、補修費用がかかるため注意が必要です。
なお3階建て以上の建物では、足場の設置がより大がかりになるため、費用が10万~20万円程度高くなることもあります。
塗料の選び方で価格が変わる
塗料の種類によって費用が大きく異なるのは前述の通りですが、選び方次第でコストパフォーマンスが大きく変わります。
塗料の種類 | 初期費用 | 耐久年数 | 長期的なコスト |
アクリル | 安い | 5~7年 | 短期間で塗り替えが必要 |
シリコン | 中程度 | 10~15年 | コスパが良い |
フッ素・無機 | 高い | 15~25年 | 長期的には安くなる可能性あり |
短期間で家を売却する予定がある場合は、安価な塗料(アクリル・ウレタン)を選ぶのも選択肢の一つですが、長期的に住むならシリコン以上の塗料を選ぶ方が結果的にコストを抑えられるでしょう。
適正価格を判断するためのポイント
外壁塗装の適正価格を見極めるためには、複数の業者から見積もりを取り、内容を比較することが重要です。
適正価格を判断するチェックポイント
- 見積もりを3社以上から取る(1社だけの見積もりは危険)
- 塗料の種類や工事内容を細かく確認する(曖昧な見積もりはNG)
- 極端に安い業者は避ける(手抜き工事の可能性あり)
- 塗装業者の口コミや評判をチェックする(実績のある業者を選ぶ)
外壁塗装は決して安い工事ではありません。あとで後悔しないためにも、適正価格をしっかり把握し、信頼できる業者を選びましょう。
60坪の外壁塗装の費用を抑える方法
外壁塗装は工夫次第で費用を抑えることが可能です。適正価格で施工するために、活用できるポイントを紹介します。
相見積もりを活用する
外壁塗装の費用を適正に抑えるために、必ず3社以上の業者から見積もりを取ることが重要です。
相見積もりを取るメリット | 内容 |
適正価格が分かる | 極端に高い・安い業者を避けられる |
価格交渉ができる | 競争原理が働き、値引き交渉がしやすくなる |
業者の対応を比較できる | 信頼できる業者を見極めやすい |
例えば、A社が120万円、B社が90万円、C社が150万円という見積もりを出してきた場合、B社が最も安くなります。
しかし、安いからといって即決するのではなく、見積もりの内訳を詳しく確認しましょう。塗料の品質や施工内容が適正であれば、安い業者を選んでも問題ありません。
また、相見積もりを取ることで、業者同士の競争を促し、価格交渉がしやすくなるというメリットもあります。
「他社の見積もりでは〇〇万円だった」と伝えると、値引きに応じてくれるケースもあります。
助成金や補助金を活用する
外壁塗装には、自治体の助成金や補助金を活用できる場合があります。
補助金の種類 | 対象となる条件 |
省エネリフォーム補助金 | 遮熱・断熱塗料を使用する場合 |
住宅リフォーム補助金 | 一定の条件を満たしたリフォーム工事 |
耐震改修補助金 | 外壁補修と耐震補強を同時に行う場合 |
例えば、遮熱効果のある塗料(遮熱シリコン・フッ素など)を使用すると、省エネリフォーム補助金の対象になることがあります。
補助金を受けられると、工事費用の10~30%程度が還元されるケースもあるため、必ず確認しましょう。
外壁塗装のベストなタイミング
外壁塗装をする時期を選ぶことで、コストを抑えられることがあります。
時期 | メリット | デメリット |
春(3~5月) | 気温が安定し、塗料が乾きやすい | 繁忙期のため値引きが少ない |
夏(6~8月) | 梅雨明け後なら施工しやすい | 雨が多いと工期が延びる |
秋(9~11月) | 施工に適した気候で人気が高い | 繁忙期のため予約が取りづらい |
冬(12~2月) | 施工業者の閑散期で値引き交渉しやすい | 寒冷地では施工が難しい |
特に、冬場(12~2月)は業者の閑散期にあたるため、値引き交渉がしやすくなります。
「冬は気温が低くて塗装に向かないのでは?」と思われがちですが、気温5℃以上なら問題なく施工可能です。
また、梅雨や台風シーズンを避けることで、工期の遅延を防ぎ、スムーズに施工を完了できます。
まとめ:60坪の外壁塗装の相場を把握して適正価格で施工しよう
60坪の外壁塗装の相場は80万円~150万円程度と幅広いですが、塗料の種類や外壁の状態、付帯工事の有無、業者の選び方によって費用が大きく変動します。
適正価格で施工するためには、相見積もりを取り、助成金や補助金を活用し、施工のタイミングを工夫することが重要です。
また、長期的なコストを考慮し、耐久性の高い塗料を選ぶことで、トータルのメンテナンス費用を抑えることができます。
信頼できる業者を選び、無駄な出費を防ぎながら計画的に外壁塗装を進めることが大切です。